土浦亀城邸←日本の近代住宅を振り返って

何でこんなに断熱性能が日本の住宅は低いのか、と考えていたら、いつしか日本の住宅の歴史を考えることにつながり、日本の最初期のモダンデザインとして、土浦亀城邸を思い出した。この建物の竣工はなんと1935年で、戦争も乗り越え、いまも目黒の一画にその瀟洒なすがたが残されている。

坂道に玄関があり、アプローチから階段で上がり、内部もスキップフロアで、空間が吹き抜けを介して分節されている。リビングとキッチン、寝室、の緩やかな接合は、現代住宅のプランのようで、今の若手建築家がやったと言ってもわからないようなモダンな配置計画。スキップフロアの計画は、土浦亀城が私事したフランクロイドライトの影響も強いと考えられる。

良い断熱材などない時代に、天井のパネルヒーティング、システムキッチンの走りなど、最新のテクノロジー、ライフスタイルの導入は、私たちの事務所の試みのはるかな源流でもある。装飾を全て剥ぎ取った外観のホワイトキューブはスレート貼り、構造は木造で、戦前のフラットルーフの木造でいまも現存しているのはこの建物くらいでは?建築家の自邸だからこそ、手を入れ続け残すことができたのだろう。戦後の彼のユニークな建築群もこの数年で解体されている。この住宅も2017年現在、現存しているが、売りに出ているとのこと。前川国男邸は江戸たてもの園に移設されました。この貴重な近代建築遺産がうまく残されることを期待します。

ひっそりと佇む外観。

内観はこちらをご参照下さい。


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