ベルリン・名作集合住宅の断熱リノベーション

ブルーノ タウトの研究家でもある、田中辰明先生つながりで書くのだけれど、先生のエッセイでも紹介された通りオンケルトムズヒュッテの住宅団地など、ブルーノ タウトが設計したベルリンの4つの集合住宅が2008年に世界文化遺産に登録された。また、近年外壁に外断熱を施すことなど、大規模な改修もなされ、今のスペックにあわせて蘇った。表現主義建築の時代から、第一次大戦を経て、アンビルドの時代から1920年代の後半、一気に12000戸の集合住宅をタウトは設計した。竣工から100年近く経って、文化的価値とともに、性能を向上させて建物を使用する。建築のストックとしての意識の違いを感じさせる。

たとえばこの河内秀子さんのような、現地在住のライターの方のこのようなレポートを読むと、タウトのような建築家がデザインした集合住宅が、今もベルリン市民に高い支持を受けているのがわかる。当時のデザインをカラーリングをふくめて再現している(なんと当時塗料を提供していたメーカーに協力させたとのこと)。今も住むところとして人気があるだけでなく、観光客やデザイン関係者などが実際泊まれるというのが素晴らしい。日本も小林信彦が書くように、たとえば同潤会アパートを全部とは言わないが、ひとつくらい残しておけば良かったのにねえ。

田中辰明先生宅ご訪問

K&Factory一級建築士事務所のブログに、日本の外断熱工法についての第一人者である田中辰明先生宅ご訪問の記事を上げています。ご自身の住宅が、築37年の日本の最初期の外断熱住宅です。日本の外断熱についての受容経緯など、様々なお話をお聞きしています、ご興味ある方はぜひお読み下さい。

土浦亀城邸←日本の近代住宅を振り返って

何でこんなに断熱性能が日本の住宅は低いのか、と考えていたら、いつしか日本の住宅の歴史を考えることにつながり、日本の最初期のモダンデザインとして、土浦亀城邸を思い出した。この建物の竣工はなんと1935年で、戦争も乗り越え、いまも目黒の一画にその瀟洒なすがたが残されている。

坂道に玄関があり、アプローチから階段で上がり、内部もスキップフロアで、空間が吹き抜けを介して分節されている。リビングとキッチン、寝室、の緩やかな接合は、現代住宅のプランのようで、今の若手建築家がやったと言ってもわからないようなモダンな配置計画。スキップフロアの計画は、土浦亀城が私事したフランクロイドライトの影響も強いと考えられる。

良い断熱材などない時代に、天井のパネルヒーティング、システムキッチンの走りなど、最新のテクノロジー、ライフスタイルの導入は、私たちの事務所の試みのはるかな源流でもある。装飾を全て剥ぎ取った外観のホワイトキューブはスレート貼り、構造は木造で、戦前のフラットルーフの木造でいまも現存しているのはこの建物くらいでは?建築家の自邸だからこそ、手を入れ続け残すことができたのだろう。戦後の彼のユニークな建築群もこの数年で解体されている。この住宅も2017年現在、現存しているが、売りに出ているとのこと。前川国男邸は江戸たてもの園に移設されました。この貴重な近代建築遺産がうまく残されることを期待します。

ひっそりと佇む外観。

内観はこちらをご参照下さい。


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