UR集合住宅歴史館訪問

K&Factoryのページに、先日訪問したUR集合住宅歴史館についての記事をアップしています。貴重な模型や、現物の移設など、日本の住宅の歴史が手に取るような展示内容です。ご興味のある方は是非。

UR集合住宅歴史館訪問その1-同潤会アパート

UR集合住宅歴史館訪問その2-晴海高層アパート

UR集合住宅歴史館訪問その3-戦後最初期のシステムキッチン

書評「建築と不動産のあいだ」

先日、とある機会があり、この本をご紹介頂いた。著者は今不動産業界で注目の「創造系不動産株式会社」の代表取締役、高橋寿太郎さん。さっそく読み、内容が興味深かったので簡単な書評とともにご紹介します。

この本「建築と不動産のあいだ」は、文字通り、建築と、本来は密接な関係があるはずの「不動産」について、いかに両者が関係なく並行して進んでいるか、その問題点とともに、ふたつを関連付けることで生まれる相乗効果について、自社で手掛けた実例などを含めて紹介した本です。

著者の高橋寿太郎さんは、京都工芸繊維大学卒業後、アトリエ系設計事務所である古市徹雄都市建築研究所で勤務後、不動産会社に就職、その後独立して「創造系不動産」を設立した、この業界にいるものにとってかなり変わった経歴の持ち主です。どちらの業界も体験しているため、それぞれの業界の持つ問題点がよくわかっています。ともかく建築家と不動産業界はそれぞれ自立しており、あまり対話していないのが事実です。それは出自が理工学部系(建築)と文系(不動産)であるとか、大学に不動産を教える学科がない、また、建築学科でも不動産の授業がない、ことにも起因しています。

これからは、高橋さんの言う通り、建築家も不動産のこともよく理解し、ファイナンスなども考えながら住宅づくり、建築づくりをしていかないと、施主がよいものを手に入れることができません。土地探しの段階から設計は始まっているのです。(特に、建築家も、不動産の「重要事項説明書」をよく読めという指摘は面白かった!)

不動産クイズなど、面白い記事も入っています。プロの方だけでなく、これから家を建てようとしている、建築やリノベーションを考えている一般の方にぜひ読んでほしい本です。


こちらは私の友人で、仕事も一緒にしている不動産屋さん、永富さんとの日本の住宅と不動産についてのお話です。この本の話題と一部共有しているところもありますので、ぜひご参考に。

→資産としての住宅についての対話/不動産業を営む永冨さんと

K&FACTORYのブログでご紹介した、「社団法人 不動産総合戦略協会」を設立された村林正次さんが執筆された本、「住宅が資産になる日」こちらの内容も、「建築と不動産のあいだ」と内容がリンクしています。建築、不動産業界双方の問題認識が近づいている、ともいえるでしょう。こちらもご紹介まで。

書評「住宅が資産になる日」

素人でもわかるブロック塀の危険性診断

平成30年6月18日に大阪で起きた震災で、問題となったブロック塀の倒壊について、簡単に素人でも診断できる内容についてメモします。

図;ブロック塀の構造について

添付の図を見て頂くとわかりやすいと思いますが、高さ1.2m以上のブロック塀については、すべて控え壁が必要です。この控壁が入っているかいないかで、耐震性は大きく変わります。この控え壁が、3.4mピッチで入っていれば、建築基準法に基づいた設計がされている可能性が高いと考えてよいでしょう。逆に、この高さを超えたブロック塀で、控壁がないとすれば、その時点で震災時に倒壊の危険性があり、何か問題が起きた時に責任を負う可能性があります。

ブロック塀の危険性は、以前から建築学会の中で何回も指摘されていました。耐震診断の中でも、本体構造の診断が優先され、塀や煙突などの付帯構造物の診断は後回しになる傾向があります。今回の学校での痛ましい事故で、その危険性が大きくクローズアップされたことになります。公共建築だけでなく、自宅でもブロック塀を使っている場合が数多くあります。上記の寸法をあたってみることで、専門家でなくてもある程度判断することができます。ご自宅のブロック塀を上記寸法に合わせてぜひご確認下さい。

斎藤助教授の家/「日本の家」展を見て

住宅は公共建築とは違い、よほどのことがない限り現物を見ることはできない。しいて言えば建築つながりということで、コネクションや教育の一環の中での建築家の自邸を体験させていただいた。学生の時見た吉田研介さんや穂積信夫さんの自邸はやはり未だに記憶に残っている。あとは知人の住んでいた宮脇壇の松川ボックスで食事をしたり、大倉山ヒルタウンに泊まったりなど、住宅、とくに個人住宅については現物を見たり、ましてや体験することができるのは限られている。

昨年国立近代美術館で開催された「日本の家」展で展示された、清家清設計による斎藤助教の家の原寸大モックアップ、この実物を見られたのは衝撃的だった。何せ学生時代研究していて、白黒写真と図面しか見たことがない住宅が目の前にあらわれたのだから。

この写真は新建築に発表された有名な写真。この写真と平面図を見ながら空間を想像し、日本の近代住宅史を考えたのが大学院時代の研究だった。

さて、現物を見て感じたのは、意外と低さを感じない天井の高さとか、家具の配列による見事な空間の仕切りとか、やっぱり上手い建具の扱いとか、いくつもあるけど、やはりそれ以上に、あの古き写真で見た空間の浮遊感は、やはり想像するしかないな、ということだった。屋根の薄さと、キャンティレバーで持ち出された基礎、、、おもえば、ずいぶん前に開催された、森美術館のル・コルビジェ展で、マルセイユのユニテの再現モックアップが置かれていたけれど、実物を見た私としては、やはり美術館のインテリアに再現された空間には体験として限界がある。あのマルセイユの、地中海の陽光と、あの空間は密接に結びついている。ということで、この斎藤助教授のモックアップも、より実物を想像するための手がかりにすぎない、いかに建築は場や、実際の太陽光線等に支配されているか、ということを再認識した次第でありました。図面や写真から読み取れる浮遊感や軽快さは現場に行かなければわからないわな。。。まあ当時と違ってもはや周辺環境も市街化されて激変していると思うのだけど。。。

モックアップを見て、むしろ想像することが多く、イメージが膨らんだ。それは建築とインテリアの違いだし、清家さんの建築がいかに場と結びついているか、という証明だとも思うけれど。上にある、清家さん自身が描かれたパースなんてほんとに空間のイメージがつたわる。


戦後最初期モダン住宅の魅力/清家清自邸

 

将来の改修を見越した、「壊せる」プランニング

子供たちに渡せる家づくり、というテーマで、RC住宅を計画するなかで留意すべき点が、全ての壁をRCで作らない、ということです。外壁は基本性能を確保できるようにしっかり作り込む、しかし、内部の間仕切りは、構造的に必要な部分を除いて、乾式構造、木や、軽量鉄骨、またはコンクリートブロックで組んでおくことが望ましい、将来の家族構成の変化に合わせて、部屋を割ったり広げたりできるからです。例えば、2人の子どもが小学校に入ったら部屋を2つに分割して、片方が社会人になって出て行ったら、広げて趣味の部屋に、、、また、水周り、ユニットバスなども、乾式の壁で囲んでおくと将来の入れ替えがしやすいです。何世代も長持ちする住宅は、ある程度の変化に耐えられるフレキシブルなスペース構成が可能なように作っておくべきなのです。


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