書評「建築と不動産のあいだ」

先日、とある機会があり、この本をご紹介頂いた。著者は今不動産業界で注目の「創造系不動産株式会社」の代表取締役、高橋寿太郎さん。さっそく読み、内容が興味深かったので簡単な書評とともにご紹介します。

この本「建築と不動産のあいだ」は、文字通り、建築と、本来は密接な関係があるはずの「不動産」について、いかに両者が関係なく並行して進んでいるか、その問題点とともに、ふたつを関連付けることで生まれる相乗効果について、自社で手掛けた実例などを含めて紹介した本です。

著者の高橋寿太郎さんは、京都工芸繊維大学卒業後、アトリエ系設計事務所である古市徹雄都市建築研究所で勤務後、不動産会社に就職、その後独立して「創造系不動産」を設立した、この業界にいるものにとってかなり変わった経歴の持ち主です。どちらの業界も体験しているため、それぞれの業界の持つ問題点がよくわかっています。ともかく建築家と不動産業界はそれぞれ自立しており、あまり対話していないのが事実です。それは出自が理工学部系(建築)と文系(不動産)であるとか、大学に不動産を教える学科がない、また、建築学科でも不動産の授業がない、ことにも起因しています。

これからは、高橋さんの言う通り、建築家も不動産のこともよく理解し、ファイナンスなども考えながら住宅づくり、建築づくりをしていかないと、施主がよいものを手に入れることができません。土地探しの段階から設計は始まっているのです。(特に、建築家も、不動産の「重要事項説明書」をよく読めという指摘は面白かった!)

不動産クイズなど、面白い記事も入っています。プロの方だけでなく、これから家を建てようとしている、建築やリノベーションを考えている一般の方にぜひ読んでほしい本です。


こちらは私の友人で、仕事も一緒にしている不動産屋さん、永富さんとの日本の住宅と不動産についてのお話です。この本の話題と一部共有しているところもありますので、ぜひご参考に。

→資産としての住宅についての対話/不動産業を営む永冨さんと

K&FACTORYのブログでご紹介した、「社団法人 不動産総合戦略協会」を設立された村林正次さんが執筆された本、「住宅が資産になる日」こちらの内容も、「建築と不動産のあいだ」と内容がリンクしています。建築、不動産業界双方の問題認識が近づいている、ともいえるでしょう。こちらもご紹介まで。

書評「住宅が資産になる日」