ストックとしての住宅

戦前の市民生活を描いた山田洋次の映画、「小さいおうち」に出てきた文化住宅、戦前はこのような戸建て住宅も賃貸することが普通だった。


日本の住宅は、なぜ低い資産価値をもっていないのでしょうか?これはこれまでの日本の住宅政策や、住宅の流れに関わります。

戦前は都会では、住宅は賃貸するものでした。土地を持つ地主が住宅を建て、多くの人々は大家さんから住宅を借りて住まう、それが普通だったのです。東京はもともと農地が多く、山手線圏内であってもスカスカに空いていました。そこに、明治から大正期にかけての地方からの大量の人口流入が、貸家の需要となり、多くの貸家が農地に建てられていきました。しかし、その戦前の住まい方は戦争によって断ち切られました。


東京大空襲後の下町。戦争による破壊が戦後の持ち家政策につながった。


低金利のローンなど、戦後の持ち家政策は、戦災による住宅の破壊に伴う住宅不足と、どん底の経済からの需要の喚起と連動しています。大量の住宅を供給するための必要な手段であったのです。また、戦後の経済成長と、終身雇用の雇用環境が、持ち家政策とマッチして、日本の住宅環境を形成しました。急速な住宅供給の必要性のため、断熱性能や耐震性は置き去りでした。その後改良は加えられていますが、戦後のこのような住宅政策により、日本人の概念に木造の一般的な持ち家のあり方が刷り込まれてしまいました。

21世紀に入り、働き方、人口構成も変わり、住宅が一世代だけ持てば良いというこれまでの住宅のあり方とは変わってきています。また、環境の概念からも、一世代だけで建て直すスクラップアンドビルドのこれまでの考えではなく、長く2世代、3世代が使っていけるような住宅がもとめられています。
RC住宅の法定耐用年数は47年、木造の21年、鉄骨造の19〜37年に比べてはるかに長いです。そして、的確なメンテナンスを行えば、100年でも200年でも維持することができ、また、木造に比べて、メンテナンスコスト自体が安く済みます。RCの住宅を建てることで、住宅本体の資産価値は伸び、次世代に渡せる資産となります。

私たちは、ヨーロッパのように、良い性能とデザインをもつRC住宅を建てることで、土地だけでなく、住宅そのものが資産価値をもつものに変えていこうと考えています。


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