その1 日本の古民家の話から

写真;障子、日本では紙を使って空気層を設け、断熱効果を確保しました。先人の知恵です。


なぜ、日本の住宅の断熱性能が低いのか、それは、日本の住宅の歴史に関わります。

日本の住宅は、明治期まで、すべて木造住宅の歴史でした。それは、日本が森林資源が豊かで、木が身近に手に入る国土だったからです。これは海外となると違います。中国や中近東では、こんなに簡単に木が手に入りません。日干しレンガや、土を塗り固めて住宅をつくっていたところ、自然の穴を利用したところなど、木を使わない住宅を基本とする地域は世界に数多くあります。

それに対して日本の民家は木で構成され、木や紙の障子で間仕切られています。外部との仕切りも木、または漆喰、当然過去の時代は断熱材などというものはありません。夏の暑さは建具を解放して凌ぎ、冬は重ね着や布団で対応するしかありませんでした。


ヨーロッパの民家、組石造のため窓が小さく壁が多いです。暖を取るための煙突が象徴的です。


日本の民家は、高温多湿な気候のため、開放性を重視します。これが、西洋建築との最も大きな違いです。西洋建築は、組石造が中心のためどうしても壁面が大きくなります。必然的に建物の開口部を絞り、内部で暖をとり、暖かさを重視していました。これは、東アジアのモンスーン地帯にあり、比較的暖かい日本と、緯度も高く、冬が長いヨーロッパとの、気候環境の違いにも起因しています。北海道に日本人が住めなかったのも、日本伝統建築で防寒がしっかりしていなかったことによります。

そのような伝統があるため、日本人は近年まで、建物の断熱性能についてあまり関心を持ちませんでした。それに対して、ドイツなどヨーロッパ諸国では、戦前から外断熱を中心に断熱材が発達し、早くから冷暖房器具に頼らない生活が進んでいました。

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その2 日本の屋根って?

その3 RC住宅の歴史1 戦前まで

その4 RC住宅の歴史2 戦後~現在まで

その5    ヨーロッパの断熱と冷暖房事情